鰯の特徴と栄養

イワシの特徴と栄養
  イワシは資源量、水揚げ量は世界的に一番多く、価格も安く、代表的な大衆魚です。日本では、古くから食べられていましたが、肥料などにも利用されていました。節分には、焼いたイワシの頭をヒイラギといっしょに戸口にさすと魔よけになると言われ、「イワシの頭も信心から」ということわざも各地に伝わっています。
イワシ三種―マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ
イワシ類の漁獲の大半はマイワシで、九州からサハリンまで暖流に乗って回遊し、9~10月が脂肪がのっておいしくなります。大きさにより大羽18㎝以上、中羽12~18㎝、小羽5~12㎝と区別され、鮮魚のほか、缶詰め、素干し(目刺し)、煮干しなどに加工されます。
ウルメイワシは体長10~30㎝とマイワシよりも大きくなり、本州中部以南に分布しています。脂肪が少ないので、干物向きです。
カタクチイワシは体長7~15㎝の小ぶりのイワシ。日本各地の沿岸に分布し、秋から春が旬。幼魚の素干しは「ごまめ(田作り)」、若魚の煮干しは「いりこ」と呼ばれ、「だし」用です。ごく小さい1~2㎝のものは「シラス」と呼ばれ、シラス干し、チリメンジャコ、タタミイワシなどに加工されます。
イワシ類の魚油からEPAやDHAの精製したものも商品化されています。
老化防止、生活習慣病予防に取り入れたい魚
イワシは必須アミノ酸のバランスのとれた優れたタンパク質源です。タウリンも豊富で、心臓や肝臓の機能を高める作用があります。また、脂質が多く、高度不飽和脂肪酸のEPA、DHAが豊富です。EPAやDHAは血液中のコレステロール値を下げ、血液をサラサラにして血栓や梗塞を防いでくれる効果があり、動脈硬化や心臓病、脳卒中の予防に有効です。特に、DHAは脳細胞の成長を促し、脳を活性化する働きがあるので、学習機能の向上や脳血管障害型の老人性認知症を予防する効果が期待されています。
イワシにはカルシウムも豊富で、特に骨ごと食べられる丸干しや煮干、シラス干しなどはカルシウムの宝庫です。カルシウムは骨や歯を強化し、骨粗鬆症の予防に有効なだけでなく、精神安定や更年期障害を和らげる効果もあります。カルシウムは吸収されにくい栄養素ですが、ビタミンDやタンパク質とともに摂ると吸収率が高まります。イワシはビタミンDの含有量が多く、良質なタンパク質も多く含むので、カルシウムを有効に摂ることができます。また、魚肉団子やつみれにしたり、酢や梅干しを加えて煮ると軟らかく煮えるので、骨ごと食べることができます。イワシには鉄や亜鉛、微量ミネラルのセレン、ビタミンB2、B6なども豊富に含まれています。
選び方と加工・調理法
新鮮なイワシは、目はしっかりとして透明感があり、うろこがはがれていないもの。背は鮮やかな青色でつやがあり、ピンと締まっていて、腹は銀白色で弾力があり、破れていないものが新鮮。氷水の中で手開きにするなどして、迅速に処理します。酢洗いで身が締まります。和風では塩焼き、生姜煮、つくね、かば焼など、洋風ではマリネ、フライ、バター焼き、グラタンなど。イワシは魚臭さが強いので、生姜汁、大根おろし、酢、牛乳などでにおい消しをするとおいしく食べられます。
女子栄養大学副学長   農学博士   五明 紀春

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