鯛のお話

タイの話

魚の王様
タイは姿、色、味の三拍子揃った魚で、お祝いの席にはなくてはならない日本の代表的な魚です。タイはスズキ目タイ科の魚類の総称。世界では約100種類ものタイが知られ、日本ではマダイ、チダイ、キダイ、クロダイなどがあります。
マダイ(真鯛)は、タイ類の中でも最も商品価値が高く、大きいものは1mを越すものも。日本近海の水深20~200mの大陸棚に棲み、エビ、カニ、貝類などを捕食します。旬は冬から春。春の産卵期になると体色は鮮やかな桜色に変わるので「桜鯛」とか「花見鯛」と呼ばれ、珍重されています。最近では、養殖ものや香港、ニュージーランド、南米産などのマダイも輸入され、一年中出回っています。
 チダイ(血鯛)は、マダイより小型で体長20~30cmです。エラブタの縁が赤く、尾びれの後縁も黒くなく朱色をしているので、「花ダイ」とも呼ばれます。旬は晩春から夏。
 キダイ(黄鯛)は、マダイ、チダイと同様、赤いタイですが、全体に黄色みがかっています。体長は40cmほどで、旬は冬から春。マダイの代用として祝儀用の姿焼きや刺身、塩焼き、潮汁、兜煮、デンブなどに利用されます。
クロダイ(黒鯛)は、色は銀色がかった暗灰色で、体長45cmくらい。旬は初夏から秋。磯臭さや泥臭さが残るので、生きている間に血抜きをします。刺身、あらい、塩焼きで。
高栄養価の白身魚
タイのタンパク質は20%前後、アミノ酸組成はバランスがとれていて、栄養価の高い魚です。肉厚で、タンパク質が多いわりに脂肪が少なく、淡泊で上品な味です。うま味の成分はイノシン酸で、他の魚と違って鮮度が落ちてもすぐに分解されにくいためにおいしさが長持ちします。ビタミン類では、B1、Eを多く含みます。B1は糖質の代謝を助け、神経系統を調整し、筋肉や心臓の働きを正常にします。Eは抗酸化作用や血行促進効果があり、動脈硬化や老化を防ぐ働きがあります。タウリンも含まれ、血圧やコレステロール値を下げる働きがあります。
選び方と調理法
皮の色が鮮やかで、エラが鮮紅色をしていて、目が澄んでいるものが新鮮。ウロコは硬いので、丁寧に取ります。切り身や刺身は赤い色が鮮やかで、白身に透明感のあるものを選びます。
タイは死後も味があまり落ちないので、「腐ってもタイ」と言われます。肉質中の脂肪が少なく、また、水分も少なく脂肪の安定度が高く、腐敗菌が繁殖しにくいためと、酵素力が弱いので自己消化が遅く、イノシン酸が分解されにくいためです。
マダイの代表的な調理法は姿焼きと生き造り。ウロコ以外、どこも捨てるところがないので料理法は多く、新鮮なものは刺身、寿司種、あらいにし、祝儀用として姿焼きにするほか、塩焼き、潮汁、ちり鍋、兜煮、酒蒸し、タイ茶漬けなどに。目玉の吸い物や産卵前の卵巣(真子)、精巣(白子)は逸品です。100g以下のチダイは鯛鮨、笹巻鮨に利用されます。
(女子栄養大学副学長 五明紀春)

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